「気功は非科学的な虚構なのか？」という記事に、気功の存在を否定する考え方に対する私見を述べさせていただきました。私とは意見は異なりますが、否定する人を間違っているとは思わないし、気功は存在しないという考え方も合理性がある、と書きました。

今回は、その逆で、気功を信じすぎる人について私見を述べたいと思います。

 

私の結論は、気功を万能薬のように思うのは危険であり正しくないと考えます。気功を否定する考え方は積極的に実害を生むことはありませんが、気功を盲信する考え方は、その人に実害をもたらす危険があるので、より注意深くなる必要があると思います。

 

気功によって遠隔で難しい病気が寛解した場合（気功の施術と寛解に関係性がある、と感じられる場合）、普通では考えられない奇跡のように思えることがあります。これは気功が科学的に説明できないことの裏返しで、奇跡的現象に見える効果があるわけです。

まして、重篤な病気が寛解したとなると、信仰心に近い感情を生じさせることも無理はありません。

 

その結果、例えば何か重篤な病気に罹っていたとしても、気功さえあれば後は要らないんだ、通常の医療は意味がない、などという極論に走ってしまい、結果として通常の医療を受けていれば改善できたかもしれない症状を、却って悪化させてしまう、ということが起きたりします。

また、ある難しい問題が気功で奇跡的のように見える解決ができたからと云って、全く別の問題も気功で解決できるはずと思い込み、なんでも気功にすがるようになったりします。

これは「気功」を「スピリチュアル」と言い換えても成り立つ話しです。

 

こういう思考態度が最も危険だと私は思います。これは信仰ではなく、思考停止です。苦しい状況から抜け出したい一心で、なにか効き目があることにすがりたくなる気持ちは理解できますが、思考停止してすがりつこうとする、即ち依存すると、悪意を持った相手なら足元を見て法外な対価を要求されたりする危険性があります。

 

また、皮肉なことに、依存する思考を持っている人は病気になりやすいのです。逆に言うと、依存しない心を作ることで病気から抜け出したり、困難な状況から抜け出したりできるので、そういう方向にマインドを誘導する療法もあるほどです。

 

考える、というのは骨の折れることであり、多くのエネルギーを必要とします。ですから、人間はなるべく思考しなくてよいようにしようとして、無意識のうちに現状維持を望み、新しい考え方を排除しようとします。

 

普通に生活を送ることができる状態であれば、それで良いと思いますが、何か困ったことがあって、そこから抜け出したいというのであれば、何らか変革を求められます。そうした状況で、自分は現状のままで何か自分の外側に奇跡的な事象を期待する、外部の力に依存する、ということでは根本的な解決はできません。

 

気功とかスピリチュアルという、なんとなくふわっとしたものでなにか良いことが起こるだろうと依存することは解決から最も遠くなると考えます。そして、実際にスピリチュアル的なものに依存している人が結構多く居ることを知っています。

 

気功で病気が寛解するとすれば、その原理は、患者自身が無意識レベルで病気を作り出しているので、それをやめさせれば病気も消えていく、というものです。ですから、病気は自分で治すものだけれども、重篤な症状の臨場感に呑み込まれていて自力で脱出できそうにないのであれば、気功の技術によって施術者が介入的に無意識レベルを書き換えてもいいですよ、ということです。

 

要は他者に依存しない、ということが解決の糸口であり、盲信や依存はその逆方向となり、お金を騙し取られる危険性も高いので、避けるべき状態と考えます。