この記事は気功を初めて習得しようと思っている人に向けて書いています。気功を他のことに置き換えても通じると思いますが、私の経験のある気功を例に取って説明します。

 

1.大人の学びは違和感のあることだけ

これはあるサークルを主宰されたいる方が仰って居られたことですが、大人になると、新しい学びは違和感のあることにしかない、ということです。

ここで大人という言葉は、社会的な常識を備えた人という意味で使っています。

常識を備えているということは、常識に反することに違和感を覚えるということでもあります。自分が常識と思っている範囲の生活を続ける分には、違和感を感じることはやらない、というのが正しい態度となります。日常の殆どは、この論理で行動して不都合はないはずです。

ところが、今まで取り組んだことのない何かを新しく始める、となると、それまでの常識の範囲外の知識や事象が出てくるので、これに違和感を感じる訳です。そこで「違和感を感じるから止めておこう」と考えると、新しい取り組みを進められなくなるのです。

違和感を感じないこと、というのは、実は既に自分が知っていることになります。従って、違和感のないことに取り組むのは、既に知っていることを確認する作業となって、新しい学びにはなりません。そして大人は大抵のことは経験しているので、殆どのことは自分の経験に基づいた、違和感を感じないということが自分の知っていることの正しさを確認する作業になり新しい進歩には繋がりません。

大人にとって新しい世界を付け加えるのであれば、違和感を感じる世界にしかないということになります。そこで、新しいことを学ぶのであれば、違和感を感じながらもそれを受け入れることが必要となる訳です。

もし貴方が気功を学びたいと思うなら、気功について教えられることは違和感ばかり感じられると思いますが、拒否感を一旦脇に置いて、受け入れることが必要となります。

 

2.学びの段階では私見を入れない

違和感と少し似ていますが、学ぶ段階にあるときは、自分の意見を挟まないことが早く上達するためのコツになります。大人は自分の意見を持つことが大切ですし、人の言うことを鵜呑みにせずに自分の頭で考えることが良い精神態度と考えられています。ですから、何か新しいことを学ぶときにも、この精神態度を発動してしまうことがあります。

しかし、新しいことを学ぶ時は一旦この精神態度を脇に置き、小さい子供が物事を吸収する時のように、先生の言うことを100%吸収し実行することが早く上達するコツになります。これは先生の言うことを100%実行することが先生の世界観を最大限に吸収することができるからで、例えば「紙に鉛筆で書きなさい」と言われたら、「ボールペンで書いてもいいですか？」という風に切り返さず、ここでは鉛筆なんだな、と理解して鉛筆で書くことです。

自分より高い世界を持っていると思うからこそ学ぶはずなのに、「いや、この部分は私の考えていることも正しいのではないか？」という思考が働いた途端に、相手から学ぶという態度が崩れてしまいます。

この先生から学ぶ、と決めたら学び切るまでは1から100までその先生の言うことに従うのが最も早く学び切るためのコツなのです。

そして、学びきったら、そこから自分の考えを入れて試していけば良いと思います。

 

3.疑問を挟まずに100%取り組む

気功は批判の対象になりがちなので、何かを学ぶということを考えた時、最もよい題材と思います。先にお断りしておきますが、私は気功を否定する人を否定する意図はありません。それは「気功は非科学的な虚構なのか？」という記事に詳しく書いた通りです。

ここでは、気功を学ぼうとする場合について書いています。

 

私は母のがんに気功が足しになるかもしれないという、あまり確信していたわけではない知識と、自分が取り組むしかないという状況で気功を習いました。私の気功が成功しなければ母は亡くなるという切羽詰まった状況でしたので、気功が虚構かどうか検証している時間はなく、良いことがあるかもしれないので、可能な限りやる、という選択肢しかありませんでした。気功が本当かどうか、批判的に検証しようという人は、直ぐに取り組まなくても困らない余裕のある人ということになります。

そして先生がこうしなさいと言うことは全てその通り実行しました。初めて見聞きすることは違和感そのものでしたが、本当は違うんじゃないか、とかそれで本当に効果があるのか、という疑念を差し挟む余地はありません。なぜなら気功に関する予備知識が全くない状態でしたので。

しかし結果としてこれらのことが全て幸いしました。新しいことを学ぶ状況として振り返ると、最高の状況であり態度でした。そして思いがけない良い結果を得て、次のステージへ進むことができたのです。

その後、自分から意図して新しいことを学ぶことが何回か有りましたが、気功を学んだ時のような、理想的な状況を作り出せないために、学びが遅いことも書き添えておきます。